東京を拠点とし活動する美術家・田巻裕一郎個展 ”リトミック” が、2月5日より小岩BUSHBASHにて開催されます。今回で3回目の個展となる本展は、ERECT Magazine #005にてインタビュー掲載しているバンド ENDON が主催する音楽レーベル” G.G.R.R. “が共催する。
田巻裕一郎は、スクリーンプリント、立体、映像等、多様な手法を用い、圧倒的なPOPさを纏いながらも、独特の不気味さを持ち合わせ、現代日本社会に生きることの居心地の悪さを観者に露呈して突き出すかのような“My War”を続ける。
展示初日にはそんな作家のスタイルとノイズミュージックとの親和性に着目したG.G.R.R.による“Merzbow”,”ENDON”,”Zodiak” を招聘したレセプションパーティーも開催、作家本人によるZodiak とのコラボレーションによるパフォーマンスも行われます。
会場は、夜毎パンクス達が集まりシーンの最先端を形成し続ける東京ハードコアパンクの重要スポット・小岩BUSHBASH。
ライヴハウスを期間限定のギャラリーとして変容させ、ライヴイベントとアートの境界を侵犯する「リトミック」に是非ご来場下さい。
田巻裕一郎 第3回個展 『リトミック』
会期:2017年2月5日(日)~12日(日)
時間:13:00-各日ライブイベント終了迄
会場:小岩 BUSHBASH
(東京都江戸川区南小岩 7-28-11 ファーストセントラル101)
TEL/FAX: 03-6657-9939
入場料:展覧会のみ=無料
レセプションイベント
※どなたでもご参加頂けます。
日時 2017年2月5日(日)
ステージ開場 16:00 開演 16:30 終演 21:00予定
開場 小岩BUSHBASH
出演 Merzbow / ENDON / Zodiak / 田巻裕一郎 × Zodiak
レセプション・イベント+展覧会=¥2000+1ドリンク
主催:田巻裕一郎
共催:G.G.R.R.
ステイトメント
当局に認可された「正しいアート」が、街からホームレスや泥酔者=ノイズとしての他者を排除する。
対して不正なアートは、他者性を非公式な方法で表現し、それ自身、他者=ノイズとして規範を
逸脱することを欲望する。この意味で、田巻裕一郎とは不正なアーティスト=テロリストである。
《自画像”1/1”》を見てみよう。
立体的な素材を用いて表現されるのは、希薄な身体性であり、作者自らの血液で描かれるのは生き生きとした田巻の似姿ではなく、それは眠っているというより、死んでいる。そこには一般的な自画像が欲望する、作者の理想的な鏡像としてのイメージはない。自己=描かれる対象と作品との間に自己同一性を見出すのではなく、むしろその表現不可能性を提示してい ることになるだろう。つまり、田巻はアートの定義に他者を密輸している。アートは鑑賞者の意識に変調をきたす効果を持つとされるが、それは言い換えれば、鑑賞者の意識に他者を介入させることであり、実定法を犯すことなくトリップすること、法を逸脱することである。そこにはリアルな作者の主体性が発揮され
ているのではなく、リアルな彼の死が横たわっている。絶対的な他者である死を、対象を描くという行為に持ち込むこと。対象を表象=再現するというアートの公式を、一見それに従いながら殺すこと。
救世主というまだ見ぬ者のイメージを描く時、田巻はそれが私たち自身であって欲しいと願っている《第 1 話 『救世主、 求ム!』(仮題)》。このスローガンは私たちに「他者となれ」というメッセージである。もはや五体満足ですらな く、身体性の希薄さどころか欠損を抱えてすらいるこの救世主は、去勢を想起させる微細な鋲で覆われたジャケットを纏うこととなる。大きな物語の死以降の小さな物語としてのポストモダン的世界の救世主は、もはや強い身体とペニスを有する強者ではなく、複数の器官からなるノイズ=弱者であるのだ。
よって私たちにとって政治とは小さな物語のコレクションであり、取捨選択の可能性を持つ《日本国カードコレクション》。その一つとして、真・日本軍のメンバーの纏うジャケットが、救世主のユニフォームと酷似していることに注目すべきである。私たち自身がナショナリズムに駆られて軍隊となるのか、あるいはユナイトしてナショナリズム的悪魔を追い払うのか。それぞれのカードは、他のどのカードとも接続可能な機械である。私 たちは田巻からのこの問いかけに応答しなければならない。ノイズになるか、自己同一性の闇にとどまるか。カードを切る場面が、ついに巡ってきたというわけだ。
ETSUO NAGURA / ENDON
田巻 裕一郎(Yuichiro Tamaki) Profile
1985 年生まれ。アーティスト、プリントメーカー。2004 年から“y16o” 名義でアーティスト活動をスタート。Pet Bottole Ningen,ENDON などミュージシャンへの作品提供や特殊な印刷技術でのマーチ制作まで自身で行っている。現在は田巻 裕一郎として、特に一貫したテーマは持たず、身近なことから社会的なことまで絵画、立体、映像、SNS などを使って表現している。
個展
2004
「IDENIT」ギャラリー・ディスコガール / 東京
2008
「IZKO へ」, The Ghetto 百Gallery / 東京
グループ展
2009
「POMY Pirates Of Mise desu Yan」 La Fuente 代官山 Creative Bridge / 東京
「ANAL DRAGON」 commune / 東京
2015
「”Magnetic Composition – 01” Three Men Exhibition」 CORNER PRINTING KG GALLERY / 東京
2016
「”Magnetic Composition – 02” Three Men Exhibition」 PULP / 東京
「Hidden Circus presents “DUNNO” Group Exhibition」 CORNER PRINTING KG GALLERY / 東京